2023年09月05日

幼児期に英会話教室に通うことの弊害?!

 最近では小学校でも英語教育が導入されるようになりましたし、お子さまを幼児期から英会話教室に通わせるお母さまも多いと思われます。幼児期から英会話を習わせることの賛否は昔からいろいろと言われてきました。今回は大学受験という観点から見た時のその弊害について述べようと思います。

 幼少期からネイティブの発音に接していればきれいな英語の発音が身に付くでしょうし、英語に対するハードルは低くなりますので、幼児期から英語を習わせること自体は悪いことではないと思われます。ただ最近の英検の4技能化に伴う英文法軽視の風潮と相俟って大学受験においてはその弊害が目につきます。

 具体的にはどのようなことでしょうか。それは英語の文章を厳密に読むことを邪魔するという点です。幼少期に英語を習う際は当然、文法のうるさいことなどは言われません。理屈ではなく英語に慣れ親しむことが優先されるからです。そのことによって何が起こるかというと、きれいに発音はできてなんとなく英文は読めていても、品詞(名詞・動詞・形容詞・副詞)概念や文型をきちんと理解していないため、大学受験レベルになると難解な英文の構造が取れず、また正確な英作文ができないということです。

 例を挙げると「私は彼と同じくらいテニスが上手い=私は彼と同じくらい上手にテニスをする」=I play tennis as well as  he.という文においてas~asの~の部分には副詞の「上手に」が入るのに I as play as  he well.のような間違いをしても疑問に思わない。またas he.の部分を as him.としてしまう間違いもよくあるのですが、これはas well as heの2番目のasは接続詞で、as well as he playsのplays が省略された形で、heは主語だから主格のheなのですが、幼児の英会話ではそんな理屈に拘らずhimでもOKとされてしまうこともあると思われます。

 こうした間違いを受験勉強の中で指摘しても生徒さんはピンと来なかったり、今までよいと思っていたものが否定されて自尊心が傷つけられたと思ってしまうこともよくあります。以上のような点からすると早期からの英語教育はこと大学受験にとってはメリットよりもディメリットの方が多いと思われます。

 幼児から英会話教室に通わせるよりも中学校時代に文法をきちんと教えてくれる塾に通う方が受験的にはメリットが多いようです。会話の習得は大学に合格してから英会話教室に通う、または大学時代に英語圏に短期留学する方がよっぽどスムーズに習得できるのではないでしょうか?事実、当志学塾でも中学校時代に塾できちんと品詞や文型について教わってきた生徒さんは苦も無く受験英語に対応していますが、幼児期に英会話教室等に通われて、中学時代にきちんと英文法について学んでこなかった生徒さんは大学受験レベルの英文読解では苦戦しており、私どももそこから救い上げるのに苦労しています。