ホントに恐ろしい塾・予備校選び
2020年03月30日

大手予備校に通っていても安心はできない!

もう一人は1年目に大手のK塾に通って国立大文系学部を目指していた生徒さんのケースです。残念ながら志望する国立大には合格できなかったので、私立文系の難関・有名大に志望を切り替えてもう1年、K塾で頑張ることにされたということです。

古文が不得意なので春休みの間だけ古文を克服するためにわが志学塾の門を叩いてくれました。春休みに動詞から識別まで一通り教えてK塾に送り出したのです。ところが9月になって親御さんから「古文と英語を見てほしい」とお電話があり、9月からお引き受けすることになりました。

英語はK塾の記述模試でも偏差値65を取っており、かなりの力を持っておられましたので、過去問による演習&解説授業によって実戦的なトレーニングを積めばOK。残るは課題は早慶の難関学部の自由英作文や課題英作文という感じでした。

ところが国語の力が英語に比べて劣っておられました。生来、人を蹴落としたりはできない穏やかでのんびりした性格であるようで、この点は人間的には素晴らしい長所なのですが、受験的にはプラスには作用しなかったようです。

古文に関しては「K塾に通っている割には文法も固まっていないし、単語力も強化されていないし、古文常識も不足しているなあ」というのが正直な感想です。これは何もK塾のせいではなく、春に私が教えた文法項目の定着も芳しくないところを見ると彼の性格に由来するところが大きいと思われます。

で、まずはMARCHレベルの古文の過去問の演習から開始しました。ところが、文法・単語・知識の総体的な弱さのため、なかなか思うようには学習が捗りません。グイグイ手応えがあるという感じにならないのです。本文を読む力が弱いため、解答の根拠にも自信が持てないで逡巡しています。難関大を狙うならスパッと決めて欲しいところが決まりません。

そうこうしているうちに早稲田の国語対策のために漢文も現文も指導する必要が出てきました。それに11~12月を費やしました。年が明けて古文に関してはようやく答えの根拠探しに確信が持てるようにはなってきましたが、早稲田の難関学部になると古・漢ともに「これは教養として知っているべき」という設問もあるので、それ以外がきちんと正答できないとキツイのは事実です。6割は超えるがボーダーの7割越えはなかなか難しいという感じでしょうか。最難関学部以外なら英語や日本史の力でカバーできると思いますが最難関学部はトータルなボーダー越えにはまだ至らないというのが1月末での現状でした。

もし、この生徒さんがK塾と並行して1学期からわが志学塾に通ってくださっていたなら(親御さんにとっての金銭的な負担は決して軽いものではございませんが)、1学期を弱点を埋め、基礎力を固める期間に、夏休みを過去問の演習とそれによって暴かれた課題を克服する期間に、そうして2学期以降をさらなる過去問演習と過去問の徹底した復習に充てることができたと思われます。そうすれば日本の私大の雄といわれる難関大の超難関学部も余裕でクリアできたことは間違いないでしょう。

この生徒さんの場合は、人間としての人柄の良さを認めつつ、入試に向けては厳しく叱咤激励する存在(親以外)が必要だったと実感されます。この生徒さんに限らず、一般的に大手の塾や予備校に現在通われているということだけでは決して安心できないということを痛感させられたケースでした。

残念ながら彼も第一志望レベルの大学には合格できず、滑り止めレベルの大学合格に留まりました。
この二人の結果を見ても順調さを欠くと合格には至らないという入試の厳しい現状を見せつけられた思いです。本当に塾・予備校選びは難しく恐ろしいと改めて実感しました。