ホントに恐ろしい塾・予備校選び
2020年04月14日

最近台頭中の授業をしないT塾ってどうなの?(2020 4/14)

この時期(1~3月)最近、のしてきている塾と言えばサンドイッチマンを起用して「えっ?!、まだ授業受けてんの?」というCMを流し、「授業をしない塾」をキャッチフレーズフレーズにしているT塾でしょう。田無にも2年ほど前に開校し、現在では入塾制限をするほどの人気だと言います。またCMのキャラもノンスタイルからサンドイッチマンに格上げされたことからもその勢いがわかろうというものです(笑)。志学塾もT塾のホームページに取り上げられて、私の授業風景なども勝手に掲載されています。本来なら肖像権違反に当たるのかもしれませんが、向こうが勝手に宣伝してくれているようなのものなので、多少ディスられていても構わずに放置しています。

最近、T塾はYouTubeに盛んに動画をアップして、林塾長(お若い!)が自ら他の予備校の評価などを述べているので、面白半分にいくつか見てみました。その中には私の出講している四谷学院に関する動画もあって、比較的好評価をしてくれているので意外な感じもありましたが、55段階制に対して「55段階個別指導というよりも55段階○付け指導だ!」と言っていたのには苦笑してしまいました。

当志学塾とは全く違うスタイルの塾ですし、競合関係にもないのでわざわざコメントする必要もないと思われましたが、気になっておられるお母さまたちも多いでしょうから一言、コメントを載せることにしました。以下は上記のYouTubeを見た私の親友の河合塾の講師の評価です。

「T塾、いくつかYouTubeも見ました。いわゆるワラ人形戦法、つまり敵を矮小化して叩きながら自陣に誘導するというやり方です。一定数の受験生は引き付けられるでしょう。しかし、参考書で自分で勉強しながらテストを受ける方式では、深い理解には至りません。ただ丸暗記するだけになりかねず、高いレベルの大学への対応は難しいでしょう。また、本当に自分で勉強できる人はT塾に行く必要はありません。ここで成功できた人はどこの予備校でも成功できるはずです」

どうでしょうか。非常に頭脳明晰な人物なので、多言を要さずに一刀両断という感じです。もちろん、自分に合った参考書選びがなかなか難しいという実態はありますから、適切な参考書を選んでくれるという点では利用価値はあります。しかし、参考書だけで勉強できる受験生というのはかなり数が限定されてしまいます。大半の受験生は、参考書に書いてある内容が理解できないので、そこを詳しく説明してもらいたいというのが実情ではないでしょうか。

うちも社会科は面倒が見られないので(2020年からは世界史の授業は、塾長の友人の予備校の実力講師が出講してくれています)、例の東洋大に繰り上がり合格したY.H君は政経をT塾にお世話になったのですが、政経は正直、伸ばしてくれました。その点は感謝しています。

その頭の切り替えが結構難しいものでした。また2人を同時に指導する場合は1人に解説している時にはもう1人には課題をやらせるわけですが、すぐ解けてしまう生徒さんの場合は自分の解説の番まで待ちぼうけになります。逆になかなか解けない生徒さんの場合は十分解いていないうちに解説されてしまうということになります。その辺は宿題で上手く調整するのかも知れませんが、実質、授業時間の半分しか1人の生徒さんには使えません。では、指導料金はマンツーマン指導の半分になっているかといえばそうはいえないと思われます。

しかし、文法の強化のために1日だけと思って受けさせた英語では、受験直前に担任の大学生に『ポレポレ』をやらされて、はっきり申し上げて、邪魔をされました。Y.H君はこの時期、東洋大学やMARCHの合格を確実なものにするために、徹底的にそれらの大学の過去問を解きまくるべきで、『ポレポレ』で国立大学や早稲田、上智レベルの文構造の把握、精読、逐語訳をやってる場合ではなかったのです。

早稲田のスポ科に合格した担任の先生の成功体験からのアドバイスだったとは思いますが、正直言ってそれがY.H君の合格を東洋の中期試験の繰り上がりまで引き延ばしたと言えます。上を見る時期ではなく、足元を固める時期だったのです。また、英語の過去問は何をやれと指示されるだけで解説は一切受けられなかったと言います。それは当然でしょう。大学生に過去問の解説が十分にできるなら、当志学塾のような塾は必要ありません。

私たちは、受験直前期にはいろいろな大学を受験する生徒たちの過去問指導のために毎日、朝から晩まで過去問を解きまくり、その解説指導によって生徒を合格に導いているのですから。

駿台や河合のような講師を雇ったのでは利益を上げられない。そうした講師を雇わずにうまく儲ける方法はないかという発想から生まれた塾でしょう。

結論から言えば、T塾で成功できる受験生はどこの予備校でも成功でき、それ以下の受験生ではT塾での合格はなかなか難しいというのが正直なところでしょう。社会科などの暗記科目なら一定程度、利用する価値がありますが、英語や国語などの受験の基幹科目の学力の形成のためにお世話になる塾ではないということです。後、数年もすればT塾に対する世間の評価も自然に定まってくることでしょう。T塾が今の勢いで伸び続けるのか否か、非常に楽しみなところです。