塾・予備校選びのヒント
2022年12月01日

高1時はどのような塾・予備校を選んだらよいのか?

お子さまの性格と学力の現状に合った塾・予備校を選ぶ

「塾や予備校に通っているのに成績が思うように上がらない」これが受験生とその親御さんにとっての最大の悩みでしょう。ではどうして成績が伸びないのでしょう?逆に言えばどうしたら成績が伸びるのでしょうか?いろんな要因が考えられますが、その最大の原因は「現在、学習している内容と方法が現状の学力に合っていない」という事でしょう。つまり、現状の学力とやっていることにギャップがあるのにそれに無自覚なまま学習を続けているという事です。これでは成績が伸びるはずがありません。

では、塾や予備校に通っているのになぜ成績が伸びないのでしょう。それにはおよそ以下のような原因が考えられます。

  • case.01

    偏差値65以上の高校に進学されたお子さまの場合

    偏差値65以上の高校に合格された優秀なお子さまならば、大手予備校の集団授業でも学習効果はあげられると思います。ただ、その際に留意しなければならないのは、学校のカリキュラム・授業進度と予備校での授業内容・進度が適合しているかどうかです。偏差値の高い高校の場合はカリキュラムも入試を意識して組まれ、授業進度も速いのが一般的です。それに比べ、大手予備校のクラス授業では複数の高校の生徒が在籍しているため、レベルの高いクラスでもお子さまの通われている高校の授業の内容・進度とは合致しないことも考えられます。高校の進度が速くても予備校の授業をその復習として活かせるなら良いと思いますが、学校で好成績を上げたいという場合は、大手予備校でのクラス授業では難しいケースも出てくると思います。その点で、やはり個別指導になりますが、高校のレベルが高い場合、当然、大学生をアルバイト講師として使っているような塾は避けなければなりません。

    アルバイト講師にはそうしたレベルの高い高校の授業内容を指導できない講師も存在しますし、難関大学に在籍している優秀な大学生でも、学力はあっても教えるスキルが伴っていないこともありうるからです。そうするとちゃんとした講師の指導を受けられる大手の予備校の個人指導ということになりますが、その場合はある程度高額な指導料を覚悟する必要があります。そこがお母さまにとっては頭の痛いところでしょう。

  • case.02

    偏差値60~65の高校に進学されたお子さまの場合

    このレベルの高校に合格されるのですからお子さまは高い能力を持っておられます。ただ、このレベルの高校は私立・公立を問わず、トップ校に追いつけ、追い越せという方針を学校が採っているせいか、教材のレベルを高くし、宿題の量も多くするという傾向があります。そうなるとお子さまが授業についていけない、宿題の量もキャパを超えてしまっているというケースが出てきます。このケースでは大手予備校のクラス授業では対応できません。かつ、上記に述べた大学生のアルバイト講師を使っている個別指導でも対応できません。高校の課題をこなさせつつ、お子さまの学力をスポイルさせることなく、大学受験を意識した指導を心がけなければなりません。

    それが可能なのはやはり力量があり、スキルも高いベテラン講師ということになります。そうした塾をご家庭に近い場所で探すのは至難なので、やはり、大手予備校の学生ではない講師による個別指導ということになると思われます。この場合もある程度の高い出費を覚悟しなければなりません。

  • case.03

    偏差値55~60の高校に進学されたお子さまの場合

    このレベルの高校に合格されたお子さまも能力は十分ですが、積極性に欠けるお子さまが多いという傾向は指摘されます。中学時代に自分より優秀な生徒さんの存在を目にして、自分の能力に自信が持てなくなっており、そうした優秀な生徒さんと再度、大学受験で争うことにアグレッシブになれないということもあるかも知れません。しかし、これは首都圏私大の定員厳格化によるここ数年の過酷な大学受験を考えますと大きなビハインドになってしまいます。

    そうした場合、まずは大学受験に対してお子さまに積極的になってもらうことが必要です。しかし、ただ厳しくハッパを掛けてもこういうお子さまには響かないケースも考えられます。まずは「なぜ大学に行かなければならないか」という理由を親子で確認する必要があります。比較的従順なお子さまの場合は、お母さんの言うことはある程度訊いてまじめにやっているようでも、自分自身の大学受験に対する目的意識が希薄で、高いモチベーションを持てないケースもあるからです。このことに関しては項を改めて書くことにしたいと思います。

  • case.04

    偏差値50~55の高校に進学されたお子さまの場合

    このレベルの高校に進学されたお子さまは、基本的・標準的な知識は理解して身に付けているが、発展的内容に関しては理解されていないか理解が不十分と言えます。その状態を放置したままでは大学に進学することが難しくなってしまいます。まずは中学の学習内容をしっかりと定着させた上で、高校での授業内容をしっかりと理解し、高校の授業に付いていくことが必須です。その上で大学受験に必要な高度な知識を焦らずに身に着けていくことが大切になってきます。このタイプのお子さまには大手予備校の集団授業は不向きです。集団に埋没してしまったまま、予備校に通っているだけで満足してしまい、授業内容がろくに定着しないまま1年が終わるということになりかねないからです。

    また個別指導でもアルバイトの大学生講師では学校の補習はそれなりにやっくれても大学受験に必要な準備をおざなりにされてしまいかねません。やはり、大学受験の指導経験の豊かな大人の講師が経営する個人塾か、大手予備校のベテラン講師の個別指導を受ける必要があります。このレベルのお子さまが高校1年時の学習に失敗すると大学受験は遠のいてしまうのでお母さまは気を抜かず、お子さまの学習状況をチェックする必要があります。担当の講師とも密に連絡を取り合って、家庭学習の指示も出してもらい、その進捗状況も講師にチェックしてもらうことも必要です。なかなか学習に対して積極性を発揮してくれないお子さまもいると思いますが、そこは下に展開する「なぜ大学に行くのか?」ということをじっくりと共有しながらモチベーションを高めていく必要があります。

  • case.05

    偏差値50以下の高校に進学されたお子さまの場合

    このレベルの高校に進学されたお子さまは中学で学習する内容も十分に理解されていません。そこをおろそかにしたままでは大学受験に必要とされる高度な内容や知識などが身に付くはずがありません。まずは急がば回れで、中学までの学習内容で穴の空いているところ、理解が不十分なところをしっかりと埋めることが先決です。中学の穴を埋めるならアルバイトの学生講師でも優秀で熱心であれば十分に務まります。お子さまと一緒に大手の個別指導の学習面談や体験授業を受けて優秀で熱心な学生講師に担当してもらえるかを探りましょう。中学までの補習をしっかりとしてもらう授業と高校の授業をフォローしてもらう授業をきちんと分けて週に複数日通う必要があろうかと思います。

    そしてそうした講師に担当してもらった上で、やはり家庭学習の指示も出してもらい、その進捗状況も講師にチェックしてもらいましょう。年若い学生講師ならかえって話しやすく、その学生に自分の受験の経験や、大学生活の楽しさや就職へ向けての活動などを話してもらうことにより、お子さまが大学生活へのあこがれや、就職することの必要性などを感じてくれれば学習に対するモチベーションもお子さまの中に生まれてくることもあります。そうしたことも大切です。ただ、学生講師ではやはり不安だというお母さまは近くに経験豊かな講師の経営する塾がないか手間暇かけて探しましょう。もしなければ大手の予備校でベテラン講師の個別指導を受ける必要があります。