塾・予備校選びのヒント
2022年12月01日

成績が伸びない理由

成績がどうして伸びないのか―どうしたら伸びるのか?

「塾や予備校に通っているのに成績が思うように上がらない」これが受験生とその親御さんにとっての最大の悩みでしょう。ではどうして成績が伸びないのでしょう?逆に言えばどうしたら成績が伸びるのでしょうか?いろんな要因が考えられますが、その最大の原因は「現在、学習している内容と方法が現状の学力に合っていない」という事でしょう。つまり、現状の学力とやっていることにギャップがあるのにそれに無自覚なまま学習を続けているという事です。これでは成績が伸びるはずがありません。

では、塾や予備校に通っているのになぜ成績が伸びないのでしょう。それにはおよそ以下のような原因が考えられます。

塾や予備校が成績を伸ばすことに真摯な姿勢を持っていない

最近のご相談で、これも口をあんぐりだったのですが、「生徒対講師2:1の個別指導塾に娘を通わせたのだけれど、講師はもう一人の生徒さんと勉強以外のおしゃべりをしていて娘は勉強を見てもらえないことが多かったという。娘は自習時間としては割り切っていたようだが…」という方がおられました。論外ですね。しかし、実際には学生アルバイトが講師の場合はこういうこともしばしば起こりがちです。授業報告書なども適当に書かれてしまえばそれまでですし、そもそも授業報告すらない塾もあると思います。

こういう塾に通わせた場合は成績の向上などは夢の夢で、親御さんのお金がドブに捨てられるようなものです。

避けるのが賢明です。学生アルバイト講師を使っているならきちんと授業報告をしている塾で、お子さんの状況などを質問しても明確に答えられる塾を選びましょう。

学校の課題が多すぎてこなすだけで手いっぱいで、学力の養成まで手が回らない

当然、学校によって差はありますが、一般的に言ってほとんどの高校は家庭学習のための課題の量が多いです。量が多くても、それが生徒の学力を伸長させられるものであれば、大変でもこなしていけば学力は付きますが、とても生徒さん自身ではこなせないケースも多々あります。その生徒さんが大学受験を目指す場合、講師は、最初のうちは課題に一緒に取り組んで、課題をこなす力を付けさせつつ大学受験に向けた学力の形成を心掛けなければなりません。これはプロにして初めてできるわざです。

 

学生講師では課題をこなすことだけで満足してしまい、その先を見据えてある時には厳しく指導するという事がなかなかできません。

特に、有名大や難関大を目指す場合は2年時から親御さんがそうして指導のできる塾に通わせることが肝要となります。が、これもそうした塾がなかなか見つからないのが現状でしょう。親御さんにとっては頭の痛いところだと思われます。前にも述べましたようにこういう場合は高1生時は補習的な塾に通い、2年の2月からは当塾のような受験専門塾にシフトされることが賢明です。

現状の学力分析が甘く、塾や予備校が中・長期の学力伸長プランを持っていない

この2月に入塾した高3生で現在、グングンと学力を伸ばしている生徒さんがいます。ここまで来るにはそれなりの紆余曲折はありましたが、お母さまの「この子はできるはずだ」という信念が実ったという感じです。今がとても良い感じなので「高1・2の時はどうして成績が伸びなかったと思う?」と質問すると「高1の時は大手の予備校に通っていたけれど、在籍校でクラスが決められて、どちらかというと予備校の中で評価の高くない講師をクラス授業に回された感じで、その授業では伸びなかった」という事でした。

彼は中学の時に部活に入れ込んで、残念ながら自分の目指す高校には入れませんでした。予備校としても実績を出してくれる高校の生徒ではなく、いわゆる授業料を収めてくれる「お客様」的扱いをされていたという事だと思います。ありがちです。

当塾では現在は英語も古文も文章読解に入ると水を得た魚のようにスラスラと理解し、流暢に訳しますが、それ以前の文法項目を固めている時期では、古文では一度学習した事項がなかなか定着せず、こちらがイライラすることも何度かありました。英語でも基本的な文法事項がしっかりしていないのに上を見て、難しいことをやりたがるという面もありました。そういうこともあり、当塾との関係も必ずしも良好とは言えない時期もあったのですが、それが基礎的な事項が固められた段階で学力が一気に開花したという感じです。2学期から冬に掛けては過去問の演習に入りますのでまだまだ油断はできませんがここまでくるとおおむね良好に伸びていくものです。

この例を見ても分かるように本当に生徒さんの力を伸ばすためには、その生徒さんがやりたがることではなく、長期的に見て力を伸ばすことをさせなければならない場合があります。個人指導の形態でお互いの信頼があれば可能なことですが、そうした信頼関係がない場合「あの塾では自分の求めることを提供してくれない」というお子さまの不平を親御さんが鵜呑みにして退塾したりという事も間々あろうかと思います。

塾側が生徒さんの学力を正確に分析し、その学力を伸ばすための長期的な方針を立て、それを生徒さんと親御さんが理解し、お互いの信頼関係の下に指導を継続しないことには学力の伸長はもたらされません。上記の場合は生徒さんとそのお母さまが当塾に信頼を寄せ続けてくれたことが、生徒さんの潜在能力を開花させることにつながったと思います。